寺院葬とは?費用や流れ、メリット・デメリットについて解説
一口に仏式の葬儀といっても、そのやり方にはさまざまなパターンがあります。
その一例として、どこで葬儀を行うかという問題が挙げられるでしょう。
近年では自宅で葬儀を行うケースは減り、代わりに専用の葬儀会場で葬儀を行うケースが増えてきました。
しかし、それとは別にお寺で葬儀を行う、寺院葬と呼ばれる葬儀の形もあります。
寺院葬は、格式と慎ましやかな雰囲気が魅力的である一方、流れや費用などをしっかりと理解しておかないと、何らかのトラブルに発展するかもしれません。
そこでこの記事では、寺院葬とはどのようなものであるかという基礎知識から始まり、その具体的な流れや項目別の費用、メリットやデメリットについて解説します。
▼気軽にご相談ください。寺院葬とは
寺院葬とは、故人の菩提寺などの寺院で行われる葬儀の形式で、伝統と格式を重視した葬儀のことです。
当然ながら、故人とその家族が信仰する宗派にもとづいて行うことになります。
そのお寺に属している僧侶によって読経があげられ、お寺が属する宗派の教えを反映する形で、心のこもったお別れの儀式を行なえます。
寺院葬の最大の特徴としては、お寺というまさに信仰の本場で行う葬儀であるため、一段と格調高いものになることが挙げられるでしょう。
寺院葬は誰でも選択できるわけではありません。
一般に、故人や家族がそのお寺の檀家であることが条件となります。
特に本堂での葬儀に関しては、その使用方法などについてお寺ごとに細かい決まりがあるのが通常です。
寺院葬の流れ
寺院葬の一般的な流れは、以下の4ステップです。
- 遺体を搬送し、安置する
- 寺院で納棺と通夜を行う
- 葬儀と告別式を行う
- 火葬を行う
おおまかな流れは、葬儀会場で葬儀を行った場合などと変わりありませんが、細かい部分に特徴があります。順番に見ていきましょう。
流れ①:遺体を搬送し、安置する
まずは故人の遺体を自宅や病院から寺院へ搬送し、安置することから始まります。 ここでは遺体の扱いに関する尊厳の保持や、寺院の規則に沿った搬送が求められます。
具体例としては、特別な布で遺体を覆う場合があることや、僧侶が先導するなど独自の搬送方法があることなどが挙げられるでしょう。
遺体の搬送と安置は、故人を寺院に迎える重要な工程であり、適切な方法で行うことが求められます。
流れ②:寺院で納棺と通夜を行う
寺院での納棺は、遺体を棺に納める行為で、寺院葬のなかでも感慨深い工程です。
通夜もこの段階で行われ、故人との最後の夜を過ごします。
僧侶による読経や、家族・親しい友人による最後のお別れがなされ、参列者の心に深く響く場面です。
遺族が故人に手を合わせて感謝の言葉を述べたり、生前の故人についての思い出話が交わされます。
故人とのつながりを深く感じ、心からお別れの言葉を捧げる時間となるため、葬儀の準備だけでなく心の準備も重要となります。
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流れ③:葬儀と告別式を行う
通夜のあとには、葬儀と告別式を行います。
寺院葬のなかでも中心的な部分であり、深い感慨と敬意が伴う儀式となります。
参列者にとっても、人生観を見つめ直す機会となることが多い場面です。
僧侶による読経や故人の功績を称える言葉、参列者による献花などが行われ、厳かに故人の人生を偲びます。
故人が生前関わった社会活動などに関する情報を盛り込むことで、故人の人生観が色濃く反映されることもあります。
また、遺族が直接感謝の言葉を述べることもあり、非常に心に残るものとなるでしょう。
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流れ④:火葬を行う
葬儀と告別式が終わったら、故人の遺体を火葬します。
寺院葬における最後の工程であり、これにより故人をこの世から穏やかに送り出すことになります。
火葬はただの焼却ではなく、故人の遺体を次の世界に送るという重要な意味を持っていることを忘れないようにしましょう。
火葬のあとには遺骨を集める儀式があり、ここでも経緯と感謝の気持ちを表現する所作が求められます。
遺骨は骨壷に納められ、いったん遺族の家に持ち帰られてから、後々お墓へと入ることになります。
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寺院葬にかかる費用
寺院葬にかかる費用は、ざっくりいって以下の4つに分類できます。
- 寺院の使用料金
- 祭壇費用・設置費用
- 参列者へのおもてなし
- 戒名(かいみょう)・お布施
これらの費用は、寺院葬の全体的な予算を計画する際にきちんと把握するべきことです。
以下の解説を読んで、おおまかなところを掴んでおきましょう。
費用①:寺院の使用料金
寺院の使用料金は、寺院葬のなかでもっとも大きな費用となることが一般的です。
具体的な使用料金は、寺院の規模・立地・施設の充実度などによって異なります。
この部分にかかるお金は、寺院自体の運営費や名声、施設の維持費などが反映されているため、高額になっても仕方ないでしょう。
特に有名な寺院は、その歴史や格式に応じて料金が高くなることがあります。
一方で地域の小規模な寺院であれば、比較的費用を抑えて利用できる場合もあります。
費用②:祭壇費用・設置費用
祭壇費用や設置費用も、寺院葬の費用を大きく左右します。
伝統的な寺院の多くは本堂に固定された祭壇があり、この場合には追加の設置が不要なため、本堂を利用する場合には祭壇費用が必要ない場合もあります。
また、祭壇に飾る花や装飾にこだわる場合、費用も考慮する必要があるでしょう。
祭壇費用や設置費用は、どれくらい凝るかによって費用が変わってくるところなので、 費用相場について寺院側と相談をしながら決めることをおすすめします。
費用③:参列者へのおもてなし
寺院葬における参列者へのおもてなし費用は、参列してくれた方々への感謝の表れとなるので、しっかり行わなければいけません。
この費用は、提供する飲食や記念品の内容によって変わります。
高級なお弁当や特別なお菓子などを提供する場合には、必然的に費用は増えます。
反対に、シンプルなお茶屋をお菓子程度の提供であれば、費用は大きく抑えられるでしょう。
故人と参列者の関係性や予算を考えつつ、バランスの取れたおもてなしを考えることが大切です。
費用④:戒名(かいみょう)・お布施
戒名とお布施の費用も、寺院葬における重要な要素です。
これらの費用は具体的に金額が決まっているものではないので、相場をチェックしつつ適切な金額を自ら決める必要があります。
基本的なお布施の相場は、読経のお礼として15万〜30万円、お車代5,000円、御膳代5,000〜10,000円です。 戒名はその階級によって費用のレベルが変わります。
「信士・信女」などは15万〜30万円、「居士・大姉」などは30万〜50万円ほどかかると見ておくとよいでしょう。
ただし地域によっても金額は異なるので、注意が必要となります。
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寺院葬を行うメリット
寺院葬を行うメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 格式ある場所で葬儀を行える
- 祭壇費用が不要となることがある
- 僧侶の送迎が不要である
順番に見ていきましょう。
メリット①:格式ある場所で葬儀を行える
寺院葬の最大のメリットは、格式のある場所で葬儀を行えることでしょう。
寺院はその空間自体が宗教的な意義を強く持ち、荘厳な雰囲気が漂っているからです。
格式ある場所で葬儀を行うことにより、故人に対する深い敬意を表現できます。
特に由緒ある寺院で行う葬儀は、参列者の心にも響くものとなり、故人を偲ぶ特別な時間となることでしょう。
参列者と共に静かに故人の思い出を語り合う場所として、人は最適であるといえます。
メリット②:祭壇費用が不要となることがある
寺院葬において本堂を使用する場合、祭壇費用が不要となることがあるのもメリットの1つといえます。
多くの寺院では本堂にすでに祭壇が設置されていて、それをそのまま利用できるからです。
特別な装飾なしで荘厳な雰囲気を提供できる寺院も多く、このような場所を使用させてもらえれば、費用を低く抑えられるでしょう。
メリット③:僧侶の送迎が不要である
僧侶は寺院に常駐している存在です。
したがって、僧侶の送迎が不要であることも、寺院葬のメリットとなります。
これにより手間が省けるだけでなく、葬儀の日程調整などもやりやすくなります。
寺院葬を行うデメリット
寺院葬を行うデメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 寺院での葬儀が断られることもある
- 葬儀会館より使いにくい場合がある
- 基本的に檀家のみ葬儀が可能である
一つひとつ解説します。
デメリット①:寺院での葬儀が断られることもある
寺院での葬儀は、必ずしも認められるわけではありません。
場合によっては断られることもあります。
たとえば、他の檀家の多くも同じような時期に葬儀を行う場合、寺院の予定がすでにいっぱいで、当面は葬儀を執り行えない可能性もあります。
寺院が行うものは葬儀だけでなく、各種法事も行わればならないため、一般人が考えるよりはるかに忙しいのです。
またその寺院の方針として、寺院葬を行わないことにしている場合もあるでしょう。
そのような場合に無理をいうわけにはいきません。
デメリット②:葬儀会館より使いにくい場合がある
寺院葬の場合、葬儀会館と比べて使いにくい可能性があるのもデメリットです。
たとえば、バリアフリー未対応だったり、板間や畳敷きしかなかったりといったことが考えられます。
葬儀会館は葬儀をスムーズに行うために洗練された施設なので、利用者のさまざまなニーズに応える作りになっています。
デメリット③:基本的に檀家のみ葬儀が可能である
寺院葬は基本的に檀家のみ葬儀が可能であり、これも場合によってはデメリットの1つとなります。
檀家ではない家が希望しても、断られるケースが大半です。
これは寺院の教えや伝統にもとづくスタンスであるため、例外を作ることは難しいと考えるべきでしょう。
したがって、故人が生前にその寺院と深いつながりを持っていなかった場合、寺院葬を選択することは極めて難しいといえます。
どんな人に寺院葬は向いている?
寺院葬が向いているケースとしては、参列者の少ない家族葬を行う場合や、菩提寺と日頃からよい付き合いがある場合などが考えられるでしょう。
寺院によっては、多人数で行う葬儀を受け入れられないこともありますし、すでに解説した通り、基本的に檀家でなければ本堂で葬儀を行うことはできないからです。
故人が生前に信仰していた寺院での葬儀は、故人の願いを反映し、親族や友人と共に心温まる思い出を作る良い機会です。
格調ある寺院の空間での葬儀は独特の静けさと落ち着きがあり、深い哀悼の意を表す場となります。
特に、宗教的背景が強い家庭や、寺院とのつながりを大切にしたい家庭には、寺院葬は大きな意味のある選択となるでしょう。
葬儀に対して不安なことがある方は
寺院葬はいくつかある葬儀の形の1つですが、ここまで解説してきたように檀家であることが必要であるうえ、特有のメリットやデメリットがあります。
本当に寺院葬がベストなのか、他の選択肢と比べてどうなのか、慎重に判断する必要があるでしょう。
しかしながら、葬儀は滅多にある行事ではないため、自分たちにとって何が最適であるかを判断するのはなかなか難しい作業になります。
葬儀に関して不安なことがある方は、ぜひ弊社、斎奉閣までお問い合わせください。
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まとめ:寺院葬について
寺院葬は故人とその家族の信仰心を反映し、格式ある寺院で行われる葬儀の形式です。
他の場所で行われる葬儀と比べて厳かな雰囲気があり、場合によっては祭壇費用がかからないと言ったメリットがあります。
一方で、葬儀会館などと比べて使い勝手が悪いといったデメリットもあります。
ここまで解説してきた寺院葬の特徴をよく念頭に置いたうえで、この形の葬儀を選ぶべきか検討するべきでしょう。
この記事が、葬儀の形式で悩む方の一助となれば幸いです。
また葬儀に関するお悩みがある方は、無料事前相談ページをご覧ください。
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